田舎

　山肌の墓地です

中腹辺りに先祖代々のお墓があります。

祖母は土葬でした。
私が小５だったと記憶しています

まだ父の兄が二人とも元気で、父と２番目の兄だったかで
白装束に頭に幽霊みたいな白い三角の布を巻いて
小鯛の笹漬が入ってるような形の木製の樽の棺桶に座った姿勢で入った祖母を
籠やさんのように担いでこの墓地の傾斜を登って行き
そのままごそっと土中に埋められた光景はいまも覚えている

あのような埋葬風景を見たのは後にも先にもあれっきり・・
昔話の絵本の中の出来事のようだ。

その下に祖母が眠っている土に手のひらを当ててみた　『おばあちゃん今日も暑いね』

実は、先日従兄弟が亡くなったことは
この先祖代々の墓にとっても重大問題であることが発覚した
（私達の認識が甘かっただけか・・）

私にとってのたった一人の従兄弟であった彼は
私が出て来た家（血族）の後継者だったわけで
もうあの一族に残された未来は従兄弟の一人息子だけ・・まだ未熟な・・

田舎のお墓の世話をして下さっている一家も年々細々としてきて
お年も召し始めている・・

従兄弟はあの先祖代々の墓へ入るのか？　目下検討中らしかった
従兄弟があの墓に入らなかったら、うちの両親はどうするんだろう？
外へ嫁いだ私にとって、あの墓はいったいどういう存在なのだろうかと
改めて考えさせられてしまった夏だった。